採用枚数の評価
前章では、デッキをカード群 \(A,B,C,D,E\) に分類し、各ハンドパターンの発生確率から手札品質を評価しました。
ここからは、実際にカードの採用枚数を変更したとき、手札品質がどのように変化するのかを考えます。
採用枚数の変更は手札全体に影響する
あるカード群 \(A\) の採用枚数を増やせば、当然ながら \(A\) を引ける確率は変化します。しかし、構築変更によって変化するのは \(A\) だけではありません。
デッキ枚数を固定する場合
40枚のデッキで \(A\) を7枚から8枚に増やす場合を考えます。デッキ枚数を40枚のまま維持するのであれば、\(A = 7 \rightarrow 8\) と同時に、別のカード群を1枚減らす必要があります。
たとえば \(C = 10 \rightarrow 9\) とすれば、これは
という構築変更です。この場合、\(A\) を引く確率が上昇する一方で、\(C\) を引く確率は低下します。
したがって、
\(A\) を引ける確率が上がったことと、手札全体の品質が改善したことは同じではありません。
デッキ枚数を増やす場合
一方で、デッキ枚数を固定する必要はありません。40枚のデッキに \(A\) を1枚追加し、
とする構築変更も考えられます。
この場合、他のカード群の採用枚数そのものは変化しません。しかし、デッキ総数 \(X\) が増えるため、他のカード群が初手5枚に含まれる確率も変化します。
共通しているもの
つまり、構築変更には、
- デッキ枚数を固定して、あるカード群を増やし別のカード群を減らす
- デッキ枚数そのものを増やしてカードを追加する
- デッキ枚数を減らしてカードを抜く
- 複数のカード群を同時に増減させる
など、さまざまな方法があります。これらに共通しているのは、
構築を変更すると、初手に発生するハンドパターン全体の確率分布が変化する
ということです。
構築を \((X,A,B,C,D,E)\) というパラメータの組として考えると、これらの値を変更することで各ハンドパターン \(P(a,b,c,d,e)\) の発生確率が変化し、その結果、前章で定義した望ましい手札集合 \(G\) の確率 \(P(G)\) も変化します。
したがって、構築変更を評価する際には、単に「\(A\) を引きやすくなったか」を見るだけではなく、
構築変更前後で、望ましい手札を得られる確率 \(P(G)\) がどの程度変化したか
を見る必要があります。カード単体の採用枚数差を見ることは、構築変更を考えるための入口です。
1枚追加したときの効率
同じ「1枚追加する」という構築変更でも、その効果は採用枚数によって異なります。
たとえば40枚デッキにおいて、あるカード群を \(6 \rightarrow 7\) と増やした場合と、\(20 \rightarrow 21\) と増やした場合では、1枚以上引ける確率の改善幅は同じではありません。
すでに十分な枚数が採用されているカード群では、さらに1枚追加しても、引ける確率の増加は次第に小さくなります。
つまり、カードの採用枚数を考える際には、
追加する1枚が、手札の確率をどの程度変化させるのか
という効率を見る必要があります。
これは単に「強いカードだから入れる」「初動だから増やす」という話ではありません。
\(A\) 群を1枚増やすことで初動率が大きく改善するのであれば、その1枚には大きな価値があります。一方で、すでに十分な枚数の \(A\) 群が採用されており、1枚追加しても確率がほとんど変化しないのであれば、そのデッキ枠を別の用途に使う方が有効である可能性があります。
また、デッキ枚数を増やして \(A\) を追加する場合には、「\(A\) を引きやすくなる効果」と同時に、「デッキが厚くなることで他のカードを引きにくくなる効果」も発生します。
確認すべき項目
したがって、採用枚数の評価では、次の項目を順に確認していく必要があります。
- そのカード群を1枚以上引ける確率
- ちょうど1枚引ける確率
- 2枚以上重ねて引く確率
- 他のカード群への影響
- デッキ枚数そのものの変化
- 最終的な手札品質 \(P(G)\) の変化
次節では、まず一つのカード群 \(A\) に注目し、
という基本的な確率から、採用枚数を増減させたときの変化を考えます。