手札品質の考え方
イントロダクションでは、デッキ構築によって直接改善できる対象として「手札品質」を挙げました。
本稿における手札品質とは、単純に初動札を引けているかではなく、
配られた手札全体が、プレイヤーの求める条件をどの程度満たしているか
を意味します。
たとえば、初動札を1枚引くことには大きな価値があります。しかし、同じ初動札を3枚引いた場合、その3枚すべてが1枚目と同じ価値を持つとは限りません。反対に、初動札だけでなく、妨害札や貫通札などが適切に組み合わされている手札は、単純な初動率では表現できない価値を持ちます。
したがって本稿では、カード単体の「引ける確率」ではなく、複数のカード群から構成される手札全体の状態を評価します。
本稿では初手5枚を基本とする
遊戯王では先攻・後攻ともにゲーム開始時の手札は5枚です。
後攻プレイヤーは自分の第1ターン開始時に6枚目をドローしますが、そのカードを得られるのは相手の第1ターンが終了した後です。
この違いはカードの価値に影響します。
たとえば、相手の第1ターンに使用する手札誘発は最初の5枚に存在する必要があります。一方、初動札、貫通札、捲り札などは、後攻プレイヤーが6枚目に引いた場合でも自分の第1ターンに利用できます。
つまり厳密には、
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先攻時の5枚
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後攻時の最初の5枚
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後攻時の6枚目を含む手札
では、求められる手札品質が異なります。
さらに遊戯王では先攻と後攻でゲーム上の有利不利そのものが異なるため、先攻手札と後攻手札の改善が勝率へ与える影響も同一とは限りません。
この問題まで含めると、先攻・後攻それぞれについて別個の最適化が必要になります。 そこで本稿の基本理論では、まず双方に共通するゲーム開始時の5枚を手札品質の基本評価単位とします。
先攻・後攻への重み付け、後攻6枚目の評価、手札誘発・捲り札の時間的価値などについては、基本的な採用枚数論とは分離して扱います。
手札品質を構成するカード
本稿では、手札を役割によっていくつかのカード群に分類して考えます。一般的な遊戯王での呼び方に習います。
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初動札:展開・行動を開始するためのカード
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貫通札:妨害を受けた後も行動を継続するためのカード
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誘発札:相手の展開や行動を妨害するカード
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捲り札:成立した相手盤面を処理するためのカード
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不純物:その状況では手札に存在することで手札品質を低下させるカード
ただし、これらの分類はカードに固定された性質ではありません。
同じカードでもデッキや状況によって役割が変わり、また必要な枚数を超えて引けば、もともと有効だったカードが不純物になることもあります。
たとえば初動札について考えると、
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0枚:展開できない
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1枚:非常に大きな価値がある
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2枚:追加の価値はあるが、1枚目と同じとは限らない
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3枚:さらに価値が低下する場合がある
というように、引いた枚数とカードの価値は必ずしも比例しません。
したがって、
- 初動札1枚目の価値 > 初動札2枚目の価値
となるカードも存在します。
これが、単純に「初動札を増やせば増やすほど良い」とは言えない理由の一つです。
次章では、このような手札をカード群ごとの組み合わせとして扱い、どのような手札がどの程度の確率で発生するのかを考えます。
手札は「組み合わせ」で評価する
手札品質を考えるうえでは、カード1枚ずつの確率だけを見るのでは不十分です。 実際のゲームでは、初動札だけを単独で引くのではなく、
- 初動札/貫通札/ 妨害札/捲り札/不純物
などが組み合わさった5枚の手札を使用します。
たとえば、
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初動1枚+貫通1枚+誘発3枚
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初動2枚+誘発2枚+不純物1枚
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初動3枚+貫通札1枚+誘発1枚
では、同じ「初動を引けている手札」であっても、その価値は大きく異なります。
したがって本稿では、カードを役割ごとのグループに分け、5枚の手札がどのような組み合わせで構成されているかを「ハンドパターン」として扱います。
そして、それぞれのハンドパターンについて、
- この手札は望ましいか
- この手札は許容できるか
- この手札は避けたいか
という条件を設定し、望ましい手札が発生する確率を計算します。
次章では、このハンドパターンを実際に数式として扱う方法を説明します。